C10FSという日立工機のスライド丸のこの修理です。こちらは今から27年前の1994年製造でもちろんメーカー保守打ち切り、部品供給もありません。サッカーアメリカW杯の年です。部品があったら逆に驚きです。
症状としては異音と軸ブレです。多分、ベアリング交換で直ります。
構造が複雑でここまで分解するのも大変だったのですが、本体アマチュア部まで到達しました。モーター焼けも無く、整流子部分も減っていません。撮っていないのですがカーボンは減っていたので交換ですね。ベアリングは前後とも回転が渋くなっていて要交換でした。
このまま閉めて終わり!
・・・だったら楽なものだったんですがハウジングがベアリング固着熱で溶けていました。。
このままだとベアリングが固定できません。ハウジング供給は打ち切られています。修理するには3Dプリントか同機種から移植ですかね。まあ、無いんですけどね。
耐熱エポキシパテで整形しました。200℃くらい持つのでベアリングからの熱も大丈夫です。十分に硬化してからヤスリなどで形を整えます。もちろんその間にベアリングは交換しました。
本体部品が供給なしでもベアリングは汎用品ですので壊れても大丈夫ですよ。むしろ今回みたいに大ごとになる前に交換した方が良いですね。
苦労して閉じて動作を確認しました。異音、振動とも正常です。こちら3ヶ月動作保証付きで販売しています。店頭で動作確認することも可能です。早い者勝ちですのでお早めにどうぞ。
新品がいい!って方は後継機種のC10FSHが現行機種でありますよ。
今回はちょっとイレギュラーな修理だったんですけど、小さい部品一つが無くて修理不可って事はよくあります。大体型落ちから5年くらいで修理不可になります。戦艦大和の主砲を製造した旋盤が1993年まで修理を繰り返して稼働していたとか超例外はありますが。でも「部品がなくて直せないんですよ」ってお客さんに言うのって何だかプロとして申し訳ないんですよね。
サポートが「神」と言われている任天堂でも製造中止後10年で保守打ち切りです。1990年発売のスーパーファミコンは2007年で公式修理受付終了してしまいました。しかしレトロゲームは人気が根強く、非公式の修理サービスにより今でもスーパーファミコンやファミコンは修理して遊ぶことができます。工具も長く使ってもらえるようなサービスを提供したいですね。
まあ、新品買ってくれた方が嬉しいんですけどね笑